※本記事は実際の業務で行ったデータ分析を、守秘義務に配慮して抽象化したものです。
なぜこの分析を行ったのか(背景)
介護業界の営業は、訪問件数・関係構築・契約維持など複数の要素が絡むため、
担当者ごとに成果の差が大きくなりやすい。
実際、私の職場でも 「売上に大きなばらつきがある」 ことが課題になっていた。
そこで今回、売上の高い担当者と低い担当者を比較し、
成果の違いにつながっている要因をデータから明確にするために分析を行った。
使用したデータと分析範囲
分析対象期間
令和6年7月 ~ 令和7年6月(1年間)
☆まずは、直近1年間を対象としました。
対象者
期間中ずっと在籍していた営業担当者
☆途中入社や退職の場合、データ数が合わないので、期間中ずっと在籍していた方を対象としました。
使用したデータ
- 受注売上金額
- 受注新規件数
- 受注追加件数
- 訪問件数
- レンタル解約率
☆上記の内容は、毎月集計しています。
分析方法
① 上位20% と 下位20% に分類
営業担当者を「受注売上金額」でランキングし、
- 上位20%(4名)
- 下位20%(4名)
に分けて比較した。
② 項目ごとの平均値をグラフ化

上位・下位・全体の3つについて、
各項目の平均値を棒グラフで比較した。
③ 相関分析

売上にどの項目が影響しているかを確認するため、
上位者群・下位者群・全体それぞれで相関係数を算出した。
分析した結果わかったこと(気づき)
① 上位者の共通点は「訪問の質」が高い
- 訪問回数よりも、訪問後のフォローの丁寧さ

- 担当者との関係構築がうまく機能している
- 提案件数が適切で、新規にも継続的にアプローチしている
② 新規獲得件数が売上に直結している

上位者群は例外なく 新規の獲得が多い。
常に見込み客が途切れない状態を作っている。
③ 解約率の低さ=契約維持の力が強い

解約が少ない担当者は、フォローの質が高く関係づくりが安定している。
④ 下位者群の課題
- 訪問件数が成果につながりにくい
- 解約率が高く、既存顧客の維持が難しい
- “量”はあるが“質”に課題がある
⑤ 全体としての結論
介護業界の営業において成果を決めるのは、
訪問の質 × 新規開拓 × 契約継続力
この3つがそろったときに安定した売上が生まれる。
苦労した点(現場のリアル)
- データの形式がバラバラで統合に時間がかかった
- AIに統合を依頼したが、指示が曖昧で伝わらず手作業になった
- 手作業ゆえに転記ミスが出て何度も修正することになった
- 「AIは万能ではない。指示の質で結果が変わる」と痛感した
今回の学びと今後の取り組み
- AIを活用する際は「具体的な指示」が必須
- 訪問の質の見える化に向けた分析(内容別・時間別など)も検討
- 新規獲得のプロセスを再現できるように成功パターンを整理
- 解約率の低い担当者の行動を基準化する
まとめ:差異分析で営業改善のヒントが見えた
今回の差異分析により、
成果の高い営業担当者に共通する“行動の質”が明確になった。
特に、
- 良質な訪問
- 新規の継続的なアプローチ
- 解約率の低さ
この3つがそろうことで売上は安定しやすい。
データ分析を通じて、
現場の感覚では気づけない“本質”が見えることを改めて実感した。

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