データを扱うとき、多くの人が「平均値」を重視します。例えば、ニュースで「日本の平均年収は○○万円」と聞くと、それが一般的な収入の目安だと思ってしまいがちです。しかし、平均値だけを見て判断すると、大きな誤解を生むことがあります。今回は、「平均値の落とし穴」について、わかりやすく解説します。
1. 平均年収のワナ
日本の平均年収が500万円だと聞いて、「自分の年収は低いのかな?」と思ったことはありませんか? しかし、実際の分布を見てみると、年収1000万円以上の人が平均を引き上げていることが分かります。実は、日本の年収の中央値は400万円前後と言われており、平均値よりも低いのです。
▶ ポイント:平均値は、極端に高い(または低い)数値に影響されやすい
2. スポーツ選手の成績と平均値
例えば、プロ野球選手の打率を考えてみましょう。シーズンの前半で「打率.350」と絶好調だった選手が、後半に調子を崩して.250に落ちるとします。このとき、単純に平均を取ると「(0.350 + 0.250) ÷ 2 = 0.300」となりますが、これは実際の成績を正しく表しているでしょうか?
実は、どの期間にどれだけの試合数があるかも考慮しないと、誤った判断につながります。統計では、このような場合に「加重平均」を使うことで、より正確な評価ができます。
▶ ポイント:単純な平均ではなく、データの分布や重みを考慮することが重要
3. 「平均」と「中央値」の違いを知ろう
ここで、データの代表値として「中央値(メディアン)」を紹介します。中央値は、データを小さい順に並べたときに真ん中に位置する値のことです。
例えば、次のような年収データがあったとします。
人 | 年収(万円) |
---|---|
A | 300 |
B | 350 |
C | 400 |
D | 450 |
E | 2000 |
この場合、平均年収は700万円((300+350+400+450+2000)÷5)となります。しかし、中央値を見てみると、400万円(真ん中の値)です。
このように、極端な値に影響されにくい中央値の方が、実態に近いことが多いのです。
▶ ポイント:データの実態を知るには、平均値だけでなく中央値も確認しよう!
まとめ
- 平均値は極端な数値に影響を受けやすい。
- データの分布や重みを考慮することが重要。
- 実態を知るには、中央値もチェックしよう。
データを見るときは、「この平均値、本当に正しいのかな?」と疑うことが大切です。統計の知識を活かして、正しくデータを読み解きましょう!
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