「コインを10回投げて全部表が出た。次は裏が出るはず!」
「検査で陽性が出た。もう病気に違いない…」
こんなふうに考えたことはありませんか?実は、これらはどちらも確率の”罠”にはまった状態です。
私自身、データ分析を学ぶ前はこういった直感的な判断を当たり前のようにしていました。統計を学んで初めて「自分の直感がいかに当てにならないか」を痛感した経験があります。
この記事では、日常で陥りやすい確率の罠を4つ取り上げ、Excelで実際に計算しながら正しい確率の考え方を解説します。
1. モンティ・ホール問題:変更すべきか、維持すべきか
有名な「モンティ・ホール問題」をご存じでしょうか?
問題の内容:
- 3つのドアのうち1つには車(当たり)、残り2つにはヤギ(ハズレ)が隠されている。
- 参加者は1つのドアを選ぶ。
- 司会者(モンティ)が、ハズレのドアを1つ開ける。
- 参加者は、最初に選んだドアを維持するか、別のドアに変更できる。
直感: どのドアを選んでも確率は変わらない(50% ずつ)。
実際の確率: 選び直した方が当たる確率は 66.7%(3分の2) になる!
なぜそうなるのか(Excelで確認)
Excelで1000回シミュレーションしてみましょう。
① A1セルに「=INT(RAND()*3)+1」と入力(1〜3のランダムな当たりドア)
② B1セルに「=INT(RAND()*3)+1」と入力(あなたの選択)
③ C1セルに「=IF(A1=B1,”維持が当たり”,”変更が当たり”)」と入力
④ A1〜C1を1000行分コピー
⑤ COUNTIFで「変更が当たり」の件数を集計
実際にやってみると、「変更が当たり」がおよそ660〜670回になります。直感とは全然違う結果が出るはずです。
ポイント:最初の選択が外れである確率は2/3。司会者がハズレを開けた後、残ったもう一方のドアにその2/3が集まるため、変更した方が有利になります。
2. ギャンブラーの誤謬:「そろそろ来るはず」は危険
「ルーレットで赤が5回連続で出たとき、「次は黒が出るはず」と思いませんか?
これがギャンブラーの誤謬です。
実際には、各回のルーレットは独立した試行です。赤が何回続こうと、次に黒が出る確率は常に約50%(ゼロを除く)です。過去の結果は次の結果に影響しません。
Excelで独立性を確認する
① A列に「=IF(RAND()<0.5,”赤”,”黒”)」を100行入力
② 「赤」が5連続した後の次の結果を手動で記録
③ 赤・黒の出現割合をCOUNTIFで集計
何度試しても赤・黒はほぼ50%ずつになります。連続した結果は次の結果に影響しないことが体感できます。
ポイント:確率的な事象は独立していることが多い。「そろそろ」という感覚は統計的には根拠がありません。
3. ベイズの定理:陽性=病気ではない
病気の検査で陽性が出たとき、本当にその病気である確率はどのくらいでしょうか?
前提条件
- 病気にかかっている確率(事前確率):1%
- 病気の人が陽性になる確率(感度):90%
- 健康な人が誤って陽性になる確率(偽陽性率):5%
「陽性なら90%の確率で病気」と思いがちですが、実際は全然違います。
Excelで計算する
以下をExcelに入力してみてください。
| 項目 | セル | 数式・値 |
|---|---|---|
| 事前確率 | B1 | 0.01 |
| 感度 | B2 | 0.90 |
| 偽陽性率 | B3 | 0.05 |
| 病気で陽性 | B4 | =B1*B2 |
| 健康で陽性 | B5 | =(1-B1)*B3 |
| 陽性全体 | B6 | =B4+B5 |
| 陽性で病気の確率 | B7 | =B4/B6 |
B7の結果は約15.4%になります。
「陽性=90%の確率で病気」ではなく、「陽性でも約85%は健康」というのが正しい解釈です。これがベイズの定理の力です。
ポイント:検査結果だけで判断せず、事前確率(その病気がどのくらい一般的か)も合わせて考えることが重要です。
4. 平均への回帰:スランプは本当にスランプか
スポーツ選手が好成績を出した後、次の試合で成績が落ちることがあります。「魔が差した」「プレッシャーに負けた」と言われますが、多くの場合は単純な平均への回帰です。
極端に良い成績や悪い成績は、運の要素が重なった結果であることが多いです。次の試合ではその運の影響が薄れ、本来の実力(平均)に近づくだけです。
Excelで確認する
① A列に「=NORM.INV(RAND(),50,10)」を100行入力(平均50・標準偏差10の成績データ)
② A列で70以上(好成績)の行を抽出
③ その次の行の値をB列に記録
④ B列の平均を計算
好成績(70以上)の次の試合の平均は、ほぼ50前後に戻ります。これが平均への回帰です。
ポイント:極端な結果の後は平均に戻る傾向がある。好成績の後の落ち込みを「スランプ」と決めつける前に、平均への回帰を疑ってみてください。
まとめ:直感を疑い、データで確認する習慣を
今回紹介した4つの確率の罠を整理します。
- モンティ・ホール問題:ドアを変更すると当たる確率が2倍になる
- ギャンブラーの誤謬:確率的な事象は独立しており「そろそろ」は通用しない
- ベイズの定理:陽性でも病気の確率は15%程度。事前確率を忘れずに
- 平均への回帰:極端な結果の後は平均に近づく。スランプと決めつけない
共通しているのは、直感だけを信じると間違えるということです。Excelで実際に計算してみると、数字が直感を裏切る瞬間を体感できます。
ぜひ今回紹介したExcelの手順を試してみてください。
あなたが「直感と違う!」と驚いた確率の話があれば、ぜひコメントで教えてください。
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